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昔々、滋賀県信楽町で陶器を生業にしていた頃、私は朝宮茶の生産地区の近くに住んでいました。しかし、後に本格的にお茶に関わるようになったきっかけは、中国・四川の香辛料卸売市場にありました。
市場に並ぶ色とりどりの香辛料の種類の多さはもちろん、その鮮烈な香りと風味の諧調の豊かさもそれまで日本で触れてきたものとは段違いでした。大きな衝撃を受けたことを覚えています。
2000年代初頭から、私は京都で中国料理店を経営していました。厨房を任せていたのは、中国の国家職業資格で「高級厨師」に認定された腕の良い料理人さんでした。素材や厨房環境、そして自身のコンディションが変わっても必ず味をストライクゾーンに入れてくる。その仕事ぶりから本当のプロとは何かを教えてもらったように思います。
中国料理を単なる食事としてではなく一つの文化として伝えたい。より本格的な味わいを追い求めるなかで「飲食」という言葉のとおり、「食」だけでなく「飲」の部分も充実させたいと思うようになり、いつしか現地の茶市場や茶農家のもとへ繰り返し足を運ぶようになりました。
写真に写っている唐辛子については、四川省内だけでも50ほどの品種が栽培されていると紹介する記事もあります。正確な数はさておき、実際に見て、香りを嗅ぎ、味わってみると、辛さだけでなく香りや風味も一つひとつ異なり、それぞれに予想以上に際立った個性がありました。
一見すると同じように見えるものがこれほどまでに違う。
その驚きがさらなる好奇心を呼び起こしそれはやがて私をお茶の世界へと導いてくれたのでした。
私事ですみません。